またJames”JY”YoungはかのJan Hammer(ex-Mahavishnu Orchestra、Jeff Beck、Al DiMeola)と邂逅し、隠れた傑作と評価の高い作品を制作。また自身の”James Young Group”を結成し、隠れ名盤を制作。
Tommy Shawはソロとして転身。元WingsのSteve Hollyや元Billy Joel BandのRichie Cannataらと自身のバンドを組み、コンスタントに制作/ツアーと活動。 また当時の”スーパーバンドブーム”の中でJack BladesやかのTed Nugentと”Damn Yankees”を結成。再び大きく注目を浴びる事となります。
そもそも初CD化の際は(今とは雲泥の差があるとは言えど)リマスターが成されていた模様でございます。
日本独自リマスターの模様でございますが、日本特有の高音中心で幾分杓子定規的なリマスターでございますがオリジナルに即したもので、非常に良心な音質でございます。
内容は言わずもがな。
ラインナップは全盛期中心。
Dennis DeYoung(Vo、Key)、James”JY”Young(G、Key、Vo)、Tommy Shaw(Vo、G、Key、他)、Chuck Panozzo(B、B-vo)、故John Panozzo(Ds、Per)となります。
また(Tommy Shaw加入前)”Equinox”は故John Curulewski(G、Vo、Key)、(Tommy Shaw離脱後)”Edge of the Century”はGlen Burtnik(Vo、G、Key)となります。
そもそもは、Dennis DeYoungとPanozzo兄弟とのトリオ”TW4”が母体となるバンドでございます。
シカゴ州立大学に入学、バンドと同時並行してミュージカル俳優を目指していたDennis DeYoungがその夢を果たせず、バンド活動に専念。
紆余曲折して大学同期のJohn Curulewski、そして”TW4”とシカゴ界隈では人気であったバンドのギタリストでイリノイ工科大学出身のJames”JY”Youngを引き入れ、五人編成化。
そしてバンド名を”Styx”と改め(←ここ重要)活動開始、当時のメジャーレーベル”RCA”配下の”Wooden Nickel”と契約。表舞台に登場となります。
Dennis DeYoungが嘗て目指したミュージカル等舞台芸術的な要素とロック音楽の融合という感があり、また当時の英国プログレッシヴ・ロックの強い影響下にある音楽性でございます。
コーラス多用とメロディアス重視、ハード・ロック色を強く加えた非常に躍動感ある音楽性でございますが、バンド音楽性の演劇性絡みでかのGenesisを彷彿させるものがございます。
(後の全盛期作品にもそのGenesisの名盤”Trick of the Tail””Wind and Wuthering”の作品形式が取り入れられている事がミソでございます)
但し、初期は作曲に絡むJohn Curulewskiがサイケ/アート・ロック/初期プログレ系指向の音楽性という事もあり、それを加味した音楽性でもございます。
ライヴ・バンドとしての評価も非常に高いもので大物ミュージシャンの前座として起用される事もございましたが、隠れ名盤と呼ばれる四作含め通受けの評価。
メジャー配下レーベルという事もありプロモーションもバンドの望むものとならず、またビジネストラブルもあり、バンドは忸怩たる思いを噛み締めていた感がございます。
遅ればせながら初期の名盤と名高い”Styx Ⅱ”から”Lady”の時期遅れのヒット楽曲が登場も、それを置き土産に離脱。メジャーレーベル”A&M”(かのHerb Alpert設立のレーベル)と新たに契約。
遅ればせながらの前述のヒットに続けと傑作”Equinox”を制作となります。
今作群はその”Equinox”以降の全盛期作品でございます。
初期のサイケ/アート・ロック系要素を排除し、音楽性をよりメジャーにより洗練度を高め垢抜けた音楽性を指向した”Equinox”でございますが、制作後に活動に疲弊し音楽性の相違から初期音楽性を担った感のあるJohn Curulewskiが脱退。
オーディション選考で運命の”mr.Popular”Tommy Shawが登場となります。
作品は以前よりも高評価に好セールス。されどTommy Shawの登場はバンドに相当大きな衝撃を与えた模様で、バンドとしてはヒットらしいヒットとなった”Equinox”のツアーを短期に終わらせ新体制の作品制作に打ち込む事となります。
完成した”Crystal Ball”は前作からそれ程インターヴァルが無い事もありチャートアクションはそれ程ではございませんでした結構なセールスだった模様。
より洗練/ポピュラー/メロディアス化が成されている事がミソで、更にはかなりの高評価。Tommy Shawのアレンジ力がギラリと光る感がございます。
後の大成功の土台が音楽的に築かれた感があり、これを基礎にプログレ/ハード系大傑作と名高い「The Grand Illusion」「Pieces of Eight」を制作。
コンセプト絡みの作風とは言えど、音楽性の有り方もあり大ヒット。活動は順風満帆そのものとなります。
時代は八十年に向けてという事でコンパクトな作風を求められる事(そもそも英国での悪意に満ちた前作での作品評価に失望した事が切っ掛けとも言われます................何だかな~)となり、意欲作「Cornerstone」を制作。
プログレ/ハード系の音楽性を継承しつつも(日本で言う)”A.O.R.”系の音楽性も強く加えたもの。以前に比べ非常にポピュラーなもので、そもそもTommy Shawが持つポピュラー色強い作曲・アレンジが強く生かされた感がございます。
但し、Tommy Shawの貢献度に対してそもそも”Styx”の創始者として自負を持つDennis DeYoungとの音楽性の主導権争いが燻り始める感がございます。
作品・ツアー共に大成功に終わり、八十年代の華やかな幕開けとなった”Styx”。
大成功後の次作はそもそもミュージカル俳優を目指していたDennis DeYoungがその形式の作品制作を提案、「名映画館の興隆と衰亡」をテーマに制作された「Paradise Theater」が登場となります。
但し、”Styx”に”Dennis DeYoung””James”JY”Young””Tommy Shaw”それぞれのソロ的音楽性を加えた感のある作品で、音楽性の分裂が感じられるもの。またプログレ/ハード色は後退という感。
セールスや評価は非常に高く楽曲も高品質な作品であるものの音楽性の統一感には疑問が付き、とりわけ初期からのプログレ/ハード系ファンには疑問が残るものとなり、またDennis DeYoungとTommy Shawの対立が囁かれる事となります。
ツアーも凝ったものとなり、八十年代と言う時代でコンセプト的なアイデアを用いたライヴは八十年代プログレの有り方の成功例としても知られる事となります。
前作・ツアー共に大成功を収めたもののバンドとしての統一感の弱さを反省とした模様で、音楽性の一貫性を用いた作品制作を指向し、「Kilroy was Here」が登場となります。
前作同様Dennis DeYoungのミュージカル的なストーリーコンセプトを基としたもので「ロック音楽を禁止された近未来世界とレジスタンス」という感のあるもの。
但し、新機軸としてテクノ系の音楽性を取り込んだ洗練度の強い意欲作でございます。
バンドとしての音楽的な枠を重視した作風で、新機軸の音楽性とメイン作曲のDennis DeYoung/James”JY”Young/Tommy Shawの音楽的個性を生かしつつも統一感を出した傑作でございますが、
ポピュラー思考とは言えど、ハード色やロック的な躍動感を生かしたいTommy Shaw/James”JY”Youngと洗練度を高めつつミュージカル的な音楽性を指向するDennis DeYoungとの対立は裏腹に決定的となった感がございます。
アルバムは前作程ではないものの大成功。ツアーもコンセプト感を生かしたもので映像化も成され、また当初は小劇場クラスで意図的に始まり予算上マネージメントをやきもきさせたツアーも大成功に終わったものの、
Tommy Shaw/Dennis DeYoungとの対立は解消されず、冷却期間を置く意図で初のライヴ盤「Caught in the Act」が登場する事となります。
されど、Tommy Shawは脱退。バンドは事実上解散の道を選ぶ事となります..............................
その後、Dennis DeYoungもソロに転向し成功を収めますが、時代は”Thrush Metal””オルタナ/グランジ”の台頭と八十年代的な音楽性が敬遠される時代。
徐々に成功から程遠いものとなり活動も限られたものとなっていくうちに(”Styxでの大成功”で得た名声を基として)嘗ての夢であったミュージカル俳優が気に掛かる事となります。
またJames”JY”YoungはかのJan Hammer(ex-Mahavishnu Orchestra、Jeff Beck、Al DiMeola)と邂逅し、隠れた傑作と評価の高い作品を制作。また自身の”James Young Group”を結成し、隠れ名盤を制作。
Tommy Shawはソロとして転身。元WingsのSteve Hollyや元Billy Joel BandのRichie Cannataらと自身のバンドを組み、コンスタントに制作/ツアーと活動。
また当時の”スーパーバンドブーム”の中でJack BladesやかのTed Nugentと”Damn Yankees”を結成。再び大きく注目を浴びる事となります。
その”Damn Yankees”でのTommy Shawの成功に刺激されたからでしょうか?音楽ビジネス側に”Styx再結成”を画策する動きがあり、Tommy Shawを除くメンバーが合意。新作制作に乗り出す事となります。
Tommy Shawは不参加を表明、その後任にGlen Burtnikが起用され、新生Styxの新作”Edge of the Century”が制作される事となります。
非常に高品質とは言えど、正直”Styx”としては異色感のある作風。
Tommy Shawを”mr.Popular”とするなら、Glen Burtnickは”mr.Contemporary”という感。
同じマルチプレーヤー系ではございますが、Glen Burtnikはメロディアスというよりはコンテンポラリー系でございます。
A.O.R.系でソロとして楽曲提供者としてキャリアを積んできたGlen Burtnikが音楽性統一感の要となった感があり、嘗てのプログレ/ハード系というよりは寧ろコンテンポラリー系アメリカン・ロックの音楽性でございます。
但し、一回限りの再結成プロジェクトの感があり、上手くいけば次作も....という考えが見え隠れするもの。
またDennis DeYoung/James”JY”Young/Glen Burtnikそれぞれがソロ楽曲を持ち寄り、Glen Burtnikがアレンジでバンドの音楽性を繋ぎ合わせた感がございます。
Dennis DeYoungの楽曲に嘗ての”Styx”の面影が感じられるものでございます(但し、Dennis DeYoungのソロ色が濃いものでございますが................)。
当時の”グランジ/オルタナ台頭””スラッシュメタル全盛”という時代性があったとは言えどそこそこのヒットを記録致しますが、正直Dennis DeYoungは”Edge of the Century”の作風から推測するに”Styx”にそれ程興味がない感。
大手レコード会社再編の煽りを受け、契約終了後はあっけなく解散となります。
そしてDennis DeYoungは嘗ての夢「ミュージカル俳優」の道を萬進する事となります......................................(後に”Jesus Christ Superstar”のピラト提督で一役当て溜飲を下げる事となります)...........................................
A&Mレーベル時代の旧作は正に「”Styx”というバンドの栄枯盛衰を語る」という感がございます..............................
後にかの故John Panozzoの闘病に端を発し、ベスト盤での初期名曲”Lady”の再録音(ドラマーにTodd Suchermann起用)にてTommy Shawが加わった一時的再結成が成されます。
されどJohn Panozzoは復帰叶わず死去。
その後John Panozzo追悼も込め本格的に再結成しツアーを行い、ライヴ盤を制作。紆余曲折後「Brave New World」を制作するものの、Dennis DeYoungの体調不良(他にも理由がある感.................)でLawrence Gowanと交代。
”Styx”と”Dennis DeYoung”は袂を分かつ事となります....................................................
嘗てDamn YankeesのライヴでJack BladesとTommy Shawが「”Babe, I love you ”と下らない曲をやってたよな」「お前も”Sister Christian”ってアホな歌やってたじゃないか」とお互いに揶揄して笑っていた姿が目撃されておりますが、
それを知ったDennis DeYoungが激怒したとか言われます......................................................(ならばKerry Keagyはどうなる?)
未だに続くDennis DeYoung/Tommy Shawの確執でございますが、これも遠因となった感がございます........................................
この機会に是非。
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